校則議連1月オンライン研修会の実施報告
2026年1月23日(金)にオンライン形式で、研修会を開催しました。
今回は、第一部は本議連所属議員による情報共有を行い、第二部はNPO法人School Liberty Network 代表理事 中村眞大様から「校則見直しのその先へ ―海外における子どもの権利擁護の先進事例と、構造的に聖域化しやすい私学を取り残さないために」(「こどもの意見表明権・参加する権利と校則」)という演題で、ご講演いただきました。
第一部:議連所属議員による情報共有
【千葉県の不登校サポートガイドについて】(内田 美穂 議員)(横芝光町議会・千葉県)
内田議員は、ご自身がフリースクールを設立したところ、個々のフリースクールの声が行政に届きにくいことが分かり、千葉県議会議員に相談したところ、「声を集約するネットワークが必要」という助言をいただき、「千葉フリースクール等ネットワーク」を発足したそうです。
そして、「千葉県フリースクール等ネットワーク」を発足したことによって、千葉県教育委員会、千葉県議会議員連盟との年4~5回の定期懇談会を開催することにつながり、「不登校サポートガイド」の作成や「不登校児童生徒の教育機会の確保を支援する条例」(令和5年4月1日施行)の制定につながったそうです。
また、この条例に基づいて「エデュオプちば」や「放課後メタバースちば」の創設などにつながり、2025年6月補正予算でフリースクールへの補助金が創設され、官民協働による不登校支援が前進しているそうです。
【渋谷区の部活動改革について】神薗 麻智子 議員 (渋谷区議会・ 東京都)
渋谷区では部活動を通して「すべての子どもたちが生涯にわたって継続的に一人ひとりの興味・関心に応じたスポーツや文化芸術活動に親しむことができるよう、地域の人的・もの的資源を活用しながら、地域全体での支援体制を整え、多様な学びや体験の場を提供していくこと」を目指して積極的に(平日も含めた)部活動の地域展開を進めてきた過去の経緯と今後の方向性についての報告がありました。
【標準服(制服)が存在せず、服装・持ち物が完全自由な板橋区の中学校の取組みについて】
大野 ゆか 議員 (板橋区議会・ 東京都)
「板橋第五中学校」の実践について、「校則や標準服がない中学校」という特徴を軸に、その背景や考え方、実際の学校の様子を報告がありました。
板橋第五中学校は、戦後まもなく創立し、かつては1,000人以上の生徒が通った歴史ある学校ですが、少子化により生徒数が大きく減少し、学校存続の危機に直面したそうです。
そうした状況の中で、現在も校長を務める太田先生のもと、「生徒の主体性を尊重する」ことを軸とした学校改革が進められてきたそうです。
校則や標準服をなくす取組みでは、「何でも自由」にすることが目的ではなく、生徒一人ひとりが自分で考え、その場にふさわしい選択をする力を育てることを大切にしているそうです。
先生はルールを指導する存在ではなく、生徒を支えるサポーターとして関わり、学びの面でも「夢ノート」を活用した主体的な学びが行われているそうです。
また、不登校経験のある生徒を受け止める校内の居場所づくりや、地域と連携した学校運営など、多様な子どもたちを支える環境も整えられているそうです。
今回の発表では大野議員が学校を視察して実際に感じた学校の雰囲気や生徒の姿を通して、校則や標準服がなくても、信頼関係を基盤とした学校づくりが可能であること、そしてその実践が学校の魅力や持続性につながっていることを話してくださいました。
【大村市における校則の改定プロセスに関する新たなルールづくりについて】
高見 龍也 議員 (大村市議会・ 長崎県)
以前、高見議員が大村市の中学校に教員として勤務し、生徒会担当だったころ、ある中学校で女子の生徒会副会長から冬場に防寒のためにセーラー服の上から(学校が指定する黒や紺色で結構なので)カーディガン着用を認めてほしいという要望があったそうです。
そして、生徒総会において生徒全員で話し合った結果、女子生徒の100%(男子生徒を含めても合計約66%)が要望したので、職員会議で議論されたところ、過半数の先生方がカーディガン着用を認めることに賛成したそうです。
しかし、校長の判断で保護者の意向を知るためにアンケートをとったところ、回答があった保護者の87.4%がセーラー服の上からカーディガンなどの防寒着の着用に賛成がしたそうです。(87.4%のうち約90%はカーディガンに賛成、 他の10%は部活のウインドブレーカーなど)
ところが、これで晴れて女子生徒のカーディガン着用が認められると思ったら、数日後の職員会議で校長から「他校の校長に相談したところ、 カーディガン着用を認めると、袖や裾の長いカーディガンを着る生徒が現れ、服装の乱れにつながると言われたので、やはりカーディガンは認められません」 という決定がなされたそうです。
高見議員が、市議会議員に当選し、議会の一般質問で本件を取り上げた結果、校則の改定について要望しても校長が拒否し、それに納得がいかない場合は、生徒、保護者、市民が大村市教育委員会に相談し、民間出身の5名の教育委員を含めて当該校長の判断を話し合い、その結果を相談者と当該校長に伝えることになったので、校長が安易に校則改定を拒否しないことにつながったのではないかという報告がありました。
第二部:講演
【校則見直しのその先へ ―海外における子どもの権利擁護の先進事例と、構造的に聖域化しやすい私学を取り残さないために】(NPO法人School Liberty Network 代表理事 中村眞大様)
講演の要点は以下のとおりです。
1.2017年頃から問題視されてきた「ブラック校則」は、2022年の生徒指導提要改訂や2023年のこども基本法施行を受け、一定の前進が見られた。
2.文部科学省の調査では、多くの学校が校則の見直しを行ったとされているが、生徒・保護者からは今なお深刻な相談が寄せられており、現場の実態との乖離は大きいように思える。
3.特に私立学校は、制度上「自主性」が強く保障されているため、校則見直しの進捗に学校間で大きな差があり、不適切な指導やいじめへの対応が不十分であっても、行政が介入しにくいという構造的課題を抱えている。
4.日本では一部の自治体において、公的第三者機関である「子どもの権利擁護委員」や「子どもオンブズパーソン」などが子どもの権利救済を担っているが、機能面で改善の余地が見られるものもあり、設置数もまだ限られている。
また、本講演では、昨年中村様が視察されたアイルランドや韓国における子どもの権利救済の先進事例(より権限が強いものや、広報が先進的なものなど)も紹介していただき、日本の校則問題や児童生徒指導に関して多くの示唆を与えていただきました。
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